ニューヨーク証券取引所=ロイター

【NQNニューヨーク=森川サリー】17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、終値は前日比238ドル37セント(0.51%)高の4万6190ドル61セントだった。前日に意識された米地銀の信用不安を巡る過度な警戒感が和らいだ。関係悪化が懸念される米中が貿易交渉を続けるとの観測も相場を支えた。

ザイオンズ・バンコーポレーションとウエスタン・アライアンス・バンコープがそれぞれ融資に関する不正行為を巡る訴訟を起こしていたことが16日に明らかになってから、信用リスクの高まりが意識され、前日には金融株の売りが膨らんでいた。

だが地銀のフィフス・サード・バンコープが17日に発表した2025年7〜9月期決算は、1株当たり利益と預貸利ざやが市場予想を上回った。

底堅い決算発表を受け、市場では「ザイオンズとウエスタン・アライアンスの問題が地銀業界の一部で起こった局地的なものだった」(インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トーレス氏)との受け止めがあり、買い直す動きが出た。

ザイオンズ・バンコーポレーションは20日に、ウエスタン・アライアンス・バンコープは22日に、それぞれ25年7〜9月期決算の発表を発表する。「貸倒引当金やローンの延滞率の動向などから米地銀業界の健全性を確認したい」(トーレス氏)との指摘が聞かれた。

トランプ米大統領は17日、米FOXビジネスの取材に対し、対中関税の大幅な上乗せについて「持続可能ではない」との認識を示した。10月末に開催される韓国のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせて米中首脳会談を行う予定だとも発言した。

トランプ大統領が前週、11月から中国に100%の追加関税をかけると明らかにしてから、市場では米中貿易摩擦の再燃が警戒されていた。

「両国が貿易協定を結ぶまでは不安定な関係が続くと思われるが、市場はトランプ氏の発言を好材料と受け止めた」(ケース・キャピタル・アドバイザーズのケニー・ポルカリ氏)との声があるなど、投資家心理が改善した。

ダウ平均の個別銘柄では、アメリカン・エキスプレスが急伸した。同日朝に発表した25年7〜9月期決算では、1株利益などが市場予想を上回り好感された。IBMやビザ、シスコシステムズも上昇した。コカ・コーラやウォルマートにも買いが入った。

半面、キャタピラー、セールスフォース、アマゾン・ドット・コムは売られた。ゴールドマン・サックスも下落した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。終値は前日比117.438ポイント(0.52%)高の2万2679.975(速報値)だった。ネットフリックスやテスラに買いが入った。アップルも上昇した。

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