
【NQNニューヨーク=森川サリー】17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、終値は前日比238ドル37セント高の4万6190ドル61セント(速報値)だった。底堅い米地銀の決算を受けて、信用不安に対する問題がひとまず一服したと捉えられたことが相場を支えた。
米中の関係悪化を巡る過度な警戒感も後退し、投資家のリスク回避姿勢が和らいだ。
トランプ米大統領は17日、米FOXビジネスの取材に対し、対中関税の大幅な上乗せについて「持続可能ではない」との認識を示した。10月末に開催される韓国のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせて米中首脳会談を行う予定だとも発言した。
トランプ大統領が前週、11月から中国に100%の追加関税をかけると明らかにしてから、市場では米中貿易摩擦の再燃が警戒されていた。
「両国が貿易協定を結ぶまでは不安定な関係が続くと思われるが、市場はトランプ氏の発言を好材料と受け止めた」(ケース・キャピタル・アドバイザーズのケニー・ポルカリ氏)との声があるなど、投資家心理が改善した。
地銀のフィフス・サード・バンコープが17日に発表した2025年7〜9月期決算では、1株当たり利益と預貸利ざやが市場予想を上回った。
ザイオンズ・バンコーポレーションとウエスタン・アライアンス・バンコープがそれぞれ融資に関する不正行為を巡る訴訟を起こしていたことが16日に明らかになってから、信用リスクの高まりが意識され金融株は売られていた。
底堅い決算発表を受け、市場では「ザイオンズとウエスタン・アライアンスの問題が地銀業界の一部で起こった局地的なものだった」(インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トーレス氏)との受け止めがあり、買い直す動きが出た。
ダウ平均の個別銘柄では、アメリカン・エキスプレスが買われた。同日朝に発表した25年7〜9月期決算では、1株利益などが市場予想を上回った。IBMやビザ、シスコシステムズも上昇した。半面、キャタピラー、セールスフォース、アマゾン・ドット・コムは売られた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、終値は前日比117.438ポイント高の2万2679.975(速報値)だった。
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