中国の景気は不動産不況などで停滞する(北京のショッピングモール)

【北京=塩崎健太郎】中国国家統計局が20日発表した2025年7〜9月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年同期比4.8%増えた。4〜6月の5.2%増より伸びは縮小した。不動産不況により長引く内需不足が影響した。

7〜9月の前年同期比増加率は、日本経済新聞社と日経QUICKニュースが調べた市場予測の平均(4.6%)を上回った。季節要因をならした前期比の伸び率は1.1%と、4〜6月(1.0%)から拡大した。

20日はGDPと同時に他の統計も公表した。

1〜9月の工業生産は6.2%増えたものの、伸びは1〜6月の6.4%増から鈍化した。価格競争が激しくなっている電気自動車(EV)などの新エネルギー車や、3Dプリンター設備などが増えた。

工場の建設などを示す1〜9月の固定資産投資は0.5%減とマイナスになった。インフラ投資は1.1%増えた。不動産市場は不振が続いていて、1〜9月の開発投資は13.9%減とマイナスが続いた。

百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売などを合計した1〜9月の社会消費品小売総額(小売売上高)は4.5%増だった。伸び率は1〜6月(5.0%)から鈍化した。全体の1割を占める飲食店の収入は3.3%増だった。

外需をみると7〜9月の輸出(ドル建て)は前年同期を6.6%上回った。貿易摩擦が続く米国への輸出は減少したものの、欧州連合(EU)や東南アジア諸国連合(ASEAN)向けなど米国以外が伸びて全体を押し上げた。

輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は前年同期比で12%増えた。

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