
【ソウル=小林恵理香】韓国警察は20日、カンボジアで特殊詐欺に関与した疑いなどで現地当局に拘束されていた韓国人59人の逮捕状を請求したと発表した。「高収入の仕事がある」と勧誘されカンボジアに渡航後、詐欺への関与を強要されたり、詐欺組織に監禁・暴行を受けたりする事案が相次ぎ、韓国政府は実態の解明を急ぐ。
カンボジアの現地当局に拘束されていた韓国人64人が18日、韓国政府のチャーター機で送還された。韓国警察は1人を逮捕し、59人の逮捕状を請求。4人を釈放した。
韓国メディアによると、送還者の大半は20〜30歳代で、秘匿性の高い通信アプリや求人広告を通じて誘い込まれた。カンボジア渡航後は詐欺電話をかける「かけ子」や偽サイトに誘導して個人情報を盗む「フィッシング」などの詐欺に加担させられたという。
韓国政府はカンボジアで特殊詐欺に関与している韓国人が少なくとも1000人にのぼると推定する。韓国法務省によると、カンボジアに渡り韓国に戻っていない人の数が22年から急増している。年2000〜3000人が帰国していないことから実際の規模は推定を上回るともされる。
問題の拡大を防ぐため、韓国政府は対応に乗り出した。15日にカンボジアの一部地域への渡航を禁止した。同日にカンボジア側との協議に向け政府代表団を派遣した。李在明(イ・ジェミョン)大統領も若者を誘い込む手段となっている違法な求人広告の削除を指示した。
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