金価格は長期上昇が続いていた=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】金(ゴールド)価格の国際指標であるニューヨーク先物の中心限月12月物は21日、前日清算値比250.3ドル(5.7%)安の1トロイオンス4109.1ドルで取引を終えた。中心限月の1日の下落幅としては過去最大を記録。下落率でも約12年ぶりの大きさだ。急ピッチの相場上昇を招いたマネー流入が巻き戻した。

米東部時間の21日未明から相場下落が鮮明となり、同日朝方から下げ足を速めた。一時4093ドルまで下げ、前日夕方に付けた史上最高値からの下げ幅は300ドルを超えた。21日は企業決算を手掛かりにダウ工業株30種平均が約2週間半ぶりに史上最高値を更新した。リスク資産へのマネー回帰は、金のような安全資産の相場に向かい風となりやすい。

ただ、8月以降の急速な金相場上昇は株高と併存しており投資家のリスク選好だけで21日の急落を説明するのは難しい。むしろ「ゴールドラッシュ」とも呼ばれた、金への投機的なマネー殺到の反動が表面化したとみるべきかもしれない。

米ネット掲示板レディットで個人投資家が集う「ウォールストリートベッツ」では、金で運用する上場投資信託(ETF)「SPDRゴールド・シェアーズ」の証券コード「GLD」が直近までもてはやされていた。QUICK・ファクトセットによると同ETFには直近3営業日だけで49億ドルの資金が流入していた。

強気に傾いたポジション(持ち高)の偏りは、相場の風向きが変わると相場急変に拍車をかけやすい。金価格に連動するレバレッジ型ETFといった投機性がいっそう高い商品で投資していた投資家も少なくなったとみられ、レディットでは21日は「金相場急落で資産が溶けた」など嘆きの書き込みが見られた。

金の強気相場が終息に向かうかは読みにくい。押し目とみて投資家が再び買い意欲を高める可能性もある。ただ英キャピタル・エコノミクスのチーフ市場エコノミスト、ジョン・ヒギンス氏は相場急落前の20日付リポートで金相場は物価などから正当化できる水準を大幅に上回っていると分析し「まもなくバブルが崩壊する可能性はますます高まっている」と指摘していた。

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