中国で問題になっている上海ガニの産地偽装。
FNNは、その実態を取材しました。
中国の秋の味覚を代表する食材「上海ガニ」。
中国では10月にメスガニ、11月にオスガニが旬を迎え、中国だけでなく世界各地で楽しまれています。
その最も有名な産地は、上海のお隣、江蘇省蘇州市の陽澄湖。
恵まれた自然環境だけでなく、生産者による徹底した品質管理で知られ、陽澄湖は上海ガニの最高級ブランドです。
陽澄湖の上海ガニは、他の産地のカニと比べて倍以上、時には5倍もの高値で取引されることもあります。
そのため、後を絶たないのが悪質な業者による産地偽装です。
陽澄湖で生産される上海ガニは年間1万トン余りですが、それをはるかに上回る量が陽澄湖産を名乗って流通しているとされていて、全容は明らかになっていません。
こうした偽物からブランドを守るため、陽澄湖の生産者たちは、全てのカニにQRコード付きのタグをつける対策を導入。
偽物にだまされないよう呼びかけています。
しかし、ネット上では産地偽装とみられる上海ガニが大量に出品されていました。
価格は中くらいのサイズで800円と、本物の陽澄湖産であれば安いものの、他の産地のカニであれば割高という、微妙な値段設定です。
そして、タグがオフィシャルのものと違うように見えます。
試しにこのカニを購入してみました。
注文からわずか1時間後、赤いポリ袋に入ったカニが届きました。
確認してみると、タグのデザインは明らかに本物とは違います。
しかも、タグは本来つけるべきカニ本体ではなく、カニを縛るひもにつけられていました。
上海ガニは環境の影響を受けやすく、品質管理が行き届いていない可能性のある産地不明のカニは、食の安全上も大きな問題があります。
このカニを送ってきた販売業者は上海市内の市場に店を構えていました。
取材班が訪れてみると、ずらりと並んだ奥の水槽には「陽澄湖」と書かれているように見えますが、どれもなぜか最初の文字が半分隠れています。
スタッフ:
間違いなく陽澄湖のもの?確かですか?
店長:
確かです。
スタッフ:
偽装防止のカニタグがあるはずですよね?
店長:
本物だよ。
渡されたタグはネットで購入したカニのタグと同じものでした。
陽澄湖産と書いてありますが、本物とはデザインが異なります。
タグは本来、水揚げと同時につけられますが、店長はこの場で堂々とタグを取り付け始めました。
スタッフ:
今、偽物が多いのは知っていますか?
店長:
私が売っているのは本物です。
そこで、この店で使われていたタグを陽澄湖の産地で確認してもらいました。
蘇州市陽澄湖大閘蟹行業協会・姚水生さん:
違います!違います!これは違います!違います!違います!陽澄湖の上海ガニとは無関係です。
関係者:
このタグをもらえますか?取り締まりチームに調べさせます。
疑惑の業者は調査対象となりましたが、これは氷山の一角。
偽物の流通にどうやって歯止めをかけるのか、中国は今、ブランド食材を守る難しさに直面しています。
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