バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ氏=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文、佐藤璃子】米ホワイトハウスのレビット大統領報道官は23日、トランプ大統領が、マネーロンダリング(資金洗浄)防止法違反で2024年に禁錮刑4カ月の判決を受けた暗号資産(仮想通貨)交換業大手バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ氏に恩赦を与えたと明らかにした。同氏やバイナンスはトランプ氏の一族が関与する仮想通貨事業と接近していた。

仮想通貨の取引量で世界最大級のバイナンスは、米国を除く地域で「バイナンス・ドット・コム」と呼ぶ交換所を展開する。VPN(仮想私設網)などを通じて米国でも事実上サービスを利用できる状況を放置していたとして米司法当局が23年にジャオ氏個人とバイナンスを訴追。バイナンスは43億ドル(約6600億円)の罰金支払いで当局と合意した。

ジャオ氏は既に出所しているが今回の恩赦で名誉回復が図られる。ジャオ氏はX(旧ツイッター)で「米国を仮想通貨の中心地とするため全力を尽くす」と投稿した。レビット氏は声明で「バイデン前政権と仮想通貨業界との戦争は終わった」と述べた。

今後は法人としてのバイナンスに対する米政府当局の監視措置が解除されるかどうかが注目となる。もし解除されれば、いまは別法人を通じて運営する米国での交換事業をバイナンス本体で手掛けられるようになる可能性がある。仮想通貨の推進姿勢を明確にするトランプ政権にとって、バイナンスの米国展開は大きな成果となり得る。

ジャオ氏やバイナンスは、トランプ氏の一族や側近らが関与する仮想通貨事業、ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)とも緊密な関係を築いてきた。

WLFのザック・ウィットコフ最高経営責任者(CEO)は5月、ジャオ氏が居住するドバイで開かれた仮想通貨関連イベントに出席し、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系投資会社によるバイナンスへの出資で、WLF発行のステーブルコイン「USD1」が用いられると発表した。

ウィットコフCEOは、トランプ氏最側近のウィットコフ中東担当特使の息子。米紙報道によるとウィットコフCEOとジャオ氏は友人関係にあるという。

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