【ニューヨーク=伴百江】24日の米株式相場は大幅に上昇し、ダウ工業株30種平均の終値は前日比472ドル高の4万7207ドルだった。初めて4万7000ドル台の大台を突破した。S&P500種株価指数やナスダック総合株価指数も最高値をつけた。インフレ率が市場予想ほど上昇せず、追加利下げへの期待が拡大。金利の低下観測を追い風にテックや金融株が大きく上昇した。

米労働省が同日に発表した9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.0%上昇した。伸びは8月の2.9%から加速したものの、市場予想の3.1%は下回った。

この結果を受け、市場で米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が強まった。米金利先物の値動きから市場が織り込む政策金利を予想する「フェドウオッチ」によると、市場ではFRBが2026年1月までに0.25%の利下げを3回実施する確率は午後4時点で51.2%となり、1か月前の32.5%から大きく上昇した。

米資産運用会社グローバルXのスコット・ヘルフスタイン氏は「関税による物価上昇は依然としてほとんどの物価品目で顕在化していない」と分析。「市場は3%のインフレを許容しており、FRBも同様に考えるに違いない」と指摘した。

金利低下局面で恩恵を受けるテック株や金融関連株が軒並み高となった。S&P500の業種別指数をみると、「テクノロジー」(1・6%高)「コミュニケーションサービス」(1・3%高)というテック関連のほか、「金融」が1.1%高と上昇率上位を占めた。

個別銘柄ではIBMやエヌビディア、アップルなどの株価がこの日の上昇率上位に並んだ。金融大手ゴールドマン・サックス、JPモルガン、アメリカン・エキスプレスも大幅高となった。

もっとも市場は楽観ムード一色というわけではない。企業のリストラの増加など雇用情勢の鈍化が鮮明になる中で、FRBは高止まりする物価と景気減速リスクの両面に対処しなくてはいけない。

米エコノミストのクリストファー・ラプキー氏は「金融政策当局者は過去に経験したことがない事態に直面している」と警戒感を示す。

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