東南アジア諸国連合(ASEAN)は26日、東ティモールの加盟を正式に承認した。新規加盟は1999年のカンボジア以来で、東南アジアの11カ国全てがASEANのメンバーとなった。今後は加盟国間の経済格差の解消や、南シナ海問題など国によって立場の異なる課題でも協調できるかが焦点となる。

  • 【そもそも解説】ASEAN加盟、東ティモールとは 日本とも関わり

 マレーシアの首都クアラルンプールで26日に始まったASEAN首脳会議の冒頭、東ティモールのグスマン首相やASEANの各国首脳が加盟に合意する文書に署名した。

 東ティモールは豪州の北側にあるティモール島の東側に位置し、人口は約140万人。16世紀からポルトガルの支配を受け、第2次世界大戦中は旧日本軍が占領。76年にインドネシアに併合され、独立を求めた東ティモール紛争を経て、2002年に独立を果たした。

 ASEANには11年に加盟申請したが、法制度やインフラ整備などに時間がかかり、加盟までに14年を要した。日本などの援助も受けながら国づくりを進め、22年からはオブザーバーとしてASEANに参加してきた。

悲願のメンバー入り、課題は山積

 悲願だったASEAN加盟を果たした東ティモールだが、課題は山積している。東ティモールは国民1人当たりの国内総生産(GDP)がASEAN11カ国で2番目に低い「後発開発途上国」で、人材や国際会議を開く会議場や、各国代表団を収容できる宿泊施設などの設備が不足している。国際会議の運営などを担える人材の育成も急務だ。ASEAN各国や日本は、研修などを通じて公務員の実務の研修やインフラ整備を支援する方針だ。首都ディリ近郊の空港整備には、日本の国際協力機構(JICA)も関わる。

 近年、東ティモールでは政府庁舎が中国の支援で建設されるなど、経済面での影響が強まっている。日本政府関係者は、東ティモールについて「現時点で中国の影響力が強大だとは言えない」としつつも、「ASEAN加盟を機に、中国が影響を強めようとする可能性がある」とみる。

 フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海の問題など安全保障面で中国と対立する国があり、ASEAN諸国が足並みをそろえられるか、懸念する声も出ている。

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