アフリカ諸国では気候変動による災害が深刻化している=ロイター

政府はアフリカ諸国の政府を通じた民間企業への支援枠組みを拡大する。アフリカ開発銀行(AfDB)と国際協力機構(JICA)による協調融資の重点分野に防災などを加える。財政状況の悪いザンビアやガーナなども対象に広げる。持続可能な発展に向けて災害に強く、企業が安心して投資できる環境をつくる。

財務省とAfDBが第9回アフリカ開発会議(TICAD9)にあわせて21日開いたイベントで加藤勝信財務相が表明した。加藤氏は「アフリカの潜在的可能性のカギを握るのが民間セクターだ」と述べた。2026〜28年に政府向けや民間向けあわせて最大55億ドル(約8000億円)の資金協力を予定する。

AfDBとJICAの政府向け協調融資は民間企業の成長支援を目的に電力などのインフラや保健、農業などの整備を支援の重点分野としてきた。新たに防災などの「強靱(きょうじん)性」を加える。気候変動による洪水や干ばつなどに対応する。

国際通貨基金(IMF)が「対外債務の返済が困難」「リスクが高い」と分類する国への貸し付けも始める。IMFのプログラムや20カ国・地域(G20)による共通枠組みを通じて債務状況の改善に取り組んでいる国を支援できるようにする。

ザンビアやガーナ、エチオピアが新たな対象になる。これまではタンザニアやモロッコなど財政状況が比較的安定した国に貸し付けていた。

AfDBと共同で民間部門の開発を支援する枠組みはEPSA(エプサ)と呼ばれ、05年に始まった。23〜25年の第5弾は50億ドル程度となる見込みで、新たな第6弾は過去最大規模になる。

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