◆「拿捕」が現地につかの間の平和を
40分余りのインタビューで、一番、安村さんの声が弾んだ瞬間だった。「パレスチナの人たちが1年ぶりにゆっくり漁ができて、魚をいっぱい捕まえられたっていうニュースが、うれしかった」
オンライン取材に応じた安村美香子さん（スクリーンショット）
40隻以上でガザ支援を目指した「グローバル・スムード船団」の活動。物資を届けることはかなわなかったが、現地に思わぬ影響を及ぼしていたようだ。 支援船団などによると、10月1〜3日、海上封鎖の突破を試みたときにイスラエル当局に拿捕（だほ）され、乗船者400人超が一時、拘束された。ただ、イスラエル軍の船が船団の拿捕に駆り出された際、現地にはつかの間の穏やかな時間が生まれていたという。交流サイト（SNS）には、魚を手にした人々の笑顔の動画が上がっていた。◆「ドローン攻撃に備えて随時訓練」
船団の活動は、危険と隣り合わせだった。安村さんによると8月31日にスペイン・バルセロナを出航。チュニジアの港に停泊中に船団の母船などにドローンから爆弾が落とされ、火災になった。ギリシャ近くでは夜間にドローン攻撃があり、異臭のするガスの出るカプセルなどが計11隻に落とされた。航行の安全確保もあり、見張りは24時間、交代でしていた。「ドローン攻撃は想定し、訓練は随時していた」と振り返る。 そしてガザに近づいた10月1日、イスラエル軍の船に囲まれた。「エンジンを止めなさい」と警告され、放水された。最終的には、横付けにされた軍の船から乗り込んできた兵士の操縦で連行され、パレスチナ人が収容される施設に入れられた。イスラエル側が「テロリスト」と呼ぶ人らを収容する施設だ。◆薬は取り上げられ飲み水もなし
８月末の出航時に安村美香子さんが乗ったヨット＝安村さん提供
安村さんは25平方メートルほどの部屋に10人ほどで入れられた。ベッドが足りず、床にマットを敷いて寝る場所をつくった。見ている範囲では殴...残り 2094/3045 文字
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