
【NQNニューヨーク=矢内純一】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、終値は前日比74ドル37セント(0.15%)安の4万7632ドル00セントだった。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が12月の利下げが既定路線ではないとの認識を示した。利下げ継続への期待感が後退し、株売りを誘った。
28〜29日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBは前回9月に続き0.25%の利下げを決めた。採決では、0.5%の利下げを主張したミラン理事と据え置きを支持したカンザスシティー連銀のシュミッド総裁が反対票を投じた。量的引き締め(QT)を12月1日に停止することも決めた。
記者会見でパウエルFRB議長は12月会合について「追加利下げがあらかじめ決まった結論ではない」と述べ、委員会内で意見の相違があったことも明らかにした。市場では「(利下げに慎重な)タカ派的な姿勢だった」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との受け止めがあった。
ダウ平均は前日まで連日で最高値を更新していた。過熱感や高値警戒感が意識されやすいなかで、パウエルFRB議長の利下げ期待をけん制する発言が利益確定売りを誘ったとの見方もあった。
午前にはダウ平均が300ドルあまり上昇し、4万8000ドルを上回る場面があった。キャタピラーが11.6%高となり、指数を支えた。29日発表の2025年7〜9月期決算で売上高などが市場予想を上回ったうえ、25年12月期通期の売上高見通しを引き上げた。
エヌビディアも上昇し、時価総額は世界で初めて5兆ドルの大台にのせた。前日にジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が人工知能(AI)関連製品の強気な見通しを示し、アナリストの目標株価引き上げが相次いだ。
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、29日に四半期決算を発表したボーイングの下落が目立った。ユナイテッドヘルス・グループやナイキも下げた。コカ・コーラやシャーウィン・ウィリアムズも安かった。半面、四半期決算で特別項目を除く1株利益が市場予想を上回ったベライゾン・コミュニケーションズが上昇した。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5日続伸した。終値は前日比130.980ポイント(0.54%)高の2万3958.473(速報値)と、4日連続で最高値を更新した。ブロードコムやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株の一角が上昇した。
多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は5営業日ぶりに小幅反落した。終値は前日に比べ0.30ポイント安の6890.59だった。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。