トランプ米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席による会談が30日昼、韓国・釜山で行われた。会談は約1時間40分に及んだ。対立関係の改善を目指し、両国が互いに講じてきた通商をめぐる制限をについて話し合ったとみられる。対面での米中首脳会談は、今年1月の第2次トランプ政権の発足後では初めて。

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 首脳会談は、韓国・釜山の金海国際空港の端に位置する韓国空軍の基地で開かれた。会談会場とみられる建物に午前10時40分ごろトランプ氏が到着。同55分ごろ、習氏が到着した。建物の内部には米中両国の国旗が飾られていた。

 会談前、トランプ氏と習氏は両国の国旗の前で握手。トランプ氏は「間違いなく非常に成功した会談になるだろう」「だが彼は非常に手ごわい交渉相手だ。それは良くない」と話した。「我々は素晴らしい相互理解を得られる。常に良好な関係を築いてきた」とも語った。

 習氏も「また会うことができてうれしいです」と話したが、トランプ氏の冗談に対しては表情を崩さなかった。

大阪での会談以来、6年ぶり対面

 中国国営新華社通信によると、習氏は会談冒頭、「中米両国は国情が異なり、多少の相違は避けらない。世界の2大経済大国として、時に摩擦が生じることもある」と指摘。そのうえで「荒波と試練に直面する中、私とトランプ大統領がかじ取り役として大局をとらえ、中米関係という大きな船を安定的に前に進めよう」と呼びかけた。

 中国が希土類(レアアース)の輸出規制強化を表明し、トランプ氏が100%の対中追加関税を課すと脅すなど、両国間では一時緊張が高まっていた。

 首脳会談では、こうした貿易措置の停止や取り下げを議論し、歩み寄りを探ったとみられる。米国による中国船舶への「入港料」の徴収や、中国による米国産大豆の輸入制限などについても、撤回や緩和を議論したとみられる。

 マレーシアで26日まで2日間開かれた米中閣僚級会合に参加したベッセント米財務長官によると、中国によるレアアース規制は施行が1年延期される見通し。対する米国も、100%関税は発動を回避する可能性が高まっている。

 また、トランプ氏は29日、中国が合成麻薬フェンタニルの原材料の取り締まりを強めることを条件に、麻薬を問題視してかけた対中20%関税の一部税率を「引き下げる」と表明した。会談内容の公表はこれからで、発動済みの関税が実際に削減され、両大国が緊張緩和に向かうのかが注目される。

 トランプ氏はマレーシアや日本などアジア歴訪の最後に、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる韓国・慶州を29日から訪問。30日の米国への帰国を前に、習氏との会談に臨んだ。

 一方の習氏は31日と1日にAPEC首脳会議に参加する予定で、韓国には30日に入国。このタイミングで米中首脳会談が実現することになった。

 両氏の対面での会談は、第1次トランプ政権時の2019年に大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせての開催以来、約6年ぶりとなる。

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