
【ニューヨーク=秋田咲】30日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比0.2%安の4万7522ドルで終えた。人工知能(AI)関連の投資拡大懸念からテック株が売られたことに加え、米中貿易交渉の成果が市場の期待に届かなかったとの見方が重荷になっている。緊張緩和には時間がかかるとして、米国の防衛やレアアース(希土類)関連株に買いが入った。
30日の市場ではテック大手決算と米中首脳会談の2つが主要な取引材料となった。前日に決算を発表したメタは前日比11.3%安と急落したほか、マイクロソフトも2.9%安に落ち込むなど、相場全体の下落につながった。

両社とも設備投資を上積みしAIインフラなどに充てる計画を発表したが、市場では投資が過剰で将来回収できないリスクがあるとみなされた。
トランプ米大統領は30日に韓国・釜山で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した。米中間の企業取引やレアアース輸出を巡る規制適用は1年の延期にとどまったほか、お互いが引き下げた関税も対立が再燃すれば復活する余地が残った。
米ブライトン証券のジョージ・コンボイ会長は「(米中の貿易合意は)事前に市場が期待していたほどの成果にはならなかった」との見方を示す。
米中の緊張関係は今後も続くとの見方から防衛関連銘柄が買われた。軍事通信大手のL3ハリス・テクノロジーズが3.1%上げたほか、米航空大手のロッキード・マーティンが0.9%高になった。「今回の合意は戦争の終結ではなく一時停戦のようなものだ。防衛関連企業の受注は今後も増えるだろう」(コンボイ氏)。
中国商務省によると中国によるレアアースの新たな輸出規制は導入を1年間延期する。トランプ氏は同規制について「すべて解決した」と強調したが、投資家の不安は収まっておらず、米レアアース大手のMPマテリアルズは1.0%上昇した。
米農機大手ディアは1.7%下落した。ベッセント米財務長官は中国が米国産大豆を年2500万トン購入するとも明らかにしたが、中国はたびたび米国産大豆の輸入停止を交渉材料に使っている。
米運用会社ナベリアのルイス・ナベリア最高投資責任者は「経済戦争は続いており互いにけん制しあう状況は今後も続く。取引の好材料にはならなかった」と振り返る。
貿易戦争が続くとの見方からS&P500種株価指数の業種別で資本財は0.4%下げている。アマゾン・ドット・コムなどの一般消費財もマイナス1.8%下げ、全11業種で最も下落率が大きかった。
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