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“ウクライナ領土問題 米ロ2か国間での決定はない” 仏大統領
ゼレンスキー大統領 ロシアの攻勢阻止強調も “兵員不足”の指摘
ゼレンスキー大統領 “ウクライナ抜きに交渉行われないよう”
トランプ大統領 “ロシアが停戦に応じない場合 深刻な結果に”
石破首相 “ウクライナでの早期停戦 平和実現へ結束すべき”
アメリカとロシアの首脳会談が8月15日に行われるのを前に、13日、イギリスやフランスなどヨーロッパの6か国の首脳とウクライナのゼレンスキー大統領、それにトランプ大統領などが参加するオンラインでの会合が開かれました。
会合のあと、フランスのマクロン大統領は、記者団への説明の中で、「トランプ大統領は、ウクライナが管轄する領土の問題は、ウクライナの大統領によってのみ交渉されうると明確に表明した」と述べ、領土の問題が米ロの2か国の間で決定されることはないとの認識を示しました。米ロの首脳会談について、トランプ大統領は8日、「ロシアとウクライナ双方の利益になるよう、領土の交換を行うことになるだろう」と述べていましたが、マクロン大統領の説明では、そうした意向をトランプ大統領がみずから打ち消したことになります。トランプ大統領は11日には、「今回はロシアの出方をうかがう会談だ」としたほか、ホワイトハウスの報道官も12日、「どうすれば戦争を終結できるかについて理解を深めるための会談だ。いわば『聞き取り』だ」と述べていて、このところアメリカ側からは、具体的な成果について慎重な発言が相次いでいます。
ロシア軍がウクライナ東部のドネツク州でウクライナ軍の輸送拠点となっているポクロウシクにも近いドブロピリアの周辺で攻勢を一段と強めていると伝えられていることについて、ゼレンスキー大統領は8月12日、ロシア軍の小規模な歩兵部隊が複数の地点で10キロほど前進したと明らかにしました。その一方で、「部隊の一部はすでに発見され、捕らえられている。残りも近いうちにせん滅させる」と述べ、攻勢を阻止していると強調しました。そのうえで、8月15日に予定されているアメリカとロシアの首脳会談を前に「『ロシアが前進し、ウクライナは領土を失っている』という情報を作り出すねらいだ」として、ロシア側が印象操作を図っていると主張しました。ドブロピリアの周辺でのロシア側の攻勢について、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は、8月初め、ロシア軍は歩兵部隊などによる「全面浸透」の戦術で進軍を試みているとして警戒感を示していました。ウクライナメディアは、ウクライナ側の兵員不足が改めて露呈したもので、厳しい状況が続いていると指摘しています。
アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は8月15日、アメリカのアラスカ州で首脳会談を行う予定で、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ情勢をめぐって協議します。これを前に、8月13日にドイツが主催してオンラインで会合が開かれ、イギリスやフランスなどヨーロッパの6か国の首脳とウクライナのゼレンスキー大統領、トランプ大統領などが参加しました。会合のあと、ゼレンスキー大統領は記者会見を開き「領土の一体性に関するいかなる問題もウクライナを無視して議論することはできない」と述べ、ウクライナ抜きに交渉が行われないよう改めてくぎを刺しました。
トランプ大統領は、首都ワシントンで記者団に対し、「1回目の会談がうまくいけば、すぐに2回目の会談を開くだろう。その際にはプーチン大統領とゼレンスキー大統領、そして私を呼びたいのであれば私も参加する形で行う」と述べ、今回の会談の結果しだいで、ロシアとウクライナの首脳会談または自身も含めた3者会談が開かれる可能性に言及しました。そのうえで、今回の会談でロシアが停戦に応じない場合、どうなるのかという質問に対し、具体的な対応には触れなかったものの「非常に深刻な結果が生じるだろう」と述べ、ロシアをけん制しました。トランプ大統領は、今回の会談を通してプーチン大統領にウクライナの民間人を標的とするのをやめるよう説得できると思うかとも問われ、「これまでいい会話をしても、その後帰宅するとロケット弾が高齢者施設やアパートに命中するのを見てきた。答えはノーだと思う」と述べ、過度な期待は持たずに会談に臨む姿勢を示したとみられます。
石破総理大臣は、欧米やウクライナの首脳などとのオンラインの会合に参加しました。石破総理大臣は、「ロシアによる侵攻に日々対じしているウクライナの人たちに改めて敬意と連帯を表す」と述べました。その上で、ウクライナでの早期の全面停戦と公正かつ永続的な平和の実現に向けて結束して対応すべきだと訴え、こうした目標を実現するためのアメリカのトランプ大統領の取り組みを支持する考えを示しました。そして、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談が予定されていることを踏まえ、プーチン大統領に前向きな対応をとるよう求めると強調しました。さらに「ウクライナで起きていることは東アジアでも起こり得る」と述べ、国際秩序が揺らぐことに強い危機感を示すとともに、ロシアと北朝鮮の軍事協力の進展に深刻な懸念を表明しました。また、日本として国際社会と連携しながらウクライナへの支援を継続する方針を伝え、官民が一体となって復旧・復興に向けた取り組みを推進していく考えを示しました。
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