
【ニューヨーク=溝渕美香】全米最大の都市、ニューヨーク市の市長選が4日に投開票され、複数の米メディアは民主党候補の急進左派ゾーラン・マムダニ氏(34)の当選が確実になったと報じた。同市初のイスラム教徒の市長が誕生することになる。
- 【関連記事】マムダニ氏を選んだニューヨーク、米国流社会主義は「過激」か
現職のアダムズ市長の任期満了に伴う市長選は、社会主義者のマムダニ氏と無党派で出馬した前ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏(67)、共和党候補で自警団創始者のカーティス・スリワ氏(71)が争った。生活費高騰や治安対策が主要な争点となった。
マムダニ氏が勝利した要因は、物価高騰が続くなかで市民生活を直接支援する政策が評価されたことだ。賃貸住宅の値上げ制限や市営バスの無料化、高所得者層への増税などを公約として掲げ、生活環境の悪化に不満を持つ若年層や労働者層からの支持を広げた。
米不動産サイトによると、24年のニューヨーク市内のワンベッドルームの家賃(中央値)は3350ドル(約51万円)と5年間で24%上昇した。一方、賃金は物価の伸びほど増えず、年収の半分を家賃に充てざるを得ない層が多い。貧困率も高く、民間調査によると年収中央値の半分以下である「相対的貧困」に陥っている割合は25%に上る。
クオモ氏はマムダニ氏の政策に不安を持つ保守派や経済界の支援を得たが、汚職問題に揺れるアダムズ市長が支持を表明するなど、既存政治の象徴とみなされた。州知事をセクハラ問題によって辞任した影響も強く残り、信頼回復には至らなかった。
市長の任期は4年で2026年1月1日に就任する。
ゾーラン・マムダニ 1991年ウガンダ生まれ。99年にニューヨーク市に移住。大学卒業後、低所得層や非白人を支援する団体に勤務したことが政治家を目指すきっかけとなった。現在ニューヨーク州下院議員。【関連記事】
- ・「暮らせない」ニューヨーク、東京比で家賃6倍・殺人6倍 4日に市長選
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。