ニューヨークのウォール街 =遠藤啓生撮影

【NQNニューヨーク=横内理恵】21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落して始まり、午前9時35分現在は前日比229ドル25セント安の4万4709ドル06セントで推移している。同日朝に四半期決算を発表したウォルマートが5%前後下げている。トランプ関税のもとで増収を確保したうえ通期売上高見通しも上方修正したが、1株利益が市場予想を下回った。

ウォルマートは2025年5〜7月期決算で特別項目を除く1株利益が市場予想に届かなかった。朝方発表の週間の米新規失業保険申請件数は23万5000件と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(22万5000件)を上回った。

8月のフィラデルフィア連銀景況指数はマイナス0.3と7月(15.9)から悪化し、市場予想(プラス7.0)以下だった。新規受注指数などが低下した一方、支払価格指数は一段と上昇した。米景気減速と同時にインフレリスクも高まっており、投資家心理を冷やしている。

20日に米連邦準備理事会(FRB)が公表した7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では大多数の参加者が雇用の下振れ以上に物価上昇リスクを懸念していたことが分かった。カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は21日の米CNBCのインタビューでインフレ沈静化に向けて「まだやることがある」と話し、早期利下げに慎重な姿勢を示した。米短期金利先物市場では9月会合での利下げ予想確率が前日から小幅に低下し、8割を下回った。

米主要株価指数は最高値圏で推移しており、ダウ平均も過去最高値(4万5014ドル)に迫っていた。21日に始まったカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でパウエルFRB議長が22日に講演するのを控え利益確定や持ち高調整の売りも出ている。

ダウ平均ではセールスフォースやアメリカン・エキスプレス、アマゾン・ドット・コムなどの下げが目立つ。ナイキとウォルト・ディズニーも安い。一方、メルクやジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などは高い。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は3日続落で始まった。

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