バージニア州知事選で勝利を確実にしたスパンバーガー氏=AP

【ワシントン=芦塚智子】米南部バージニア州と東部ニュージャージー州の知事選が4日投開票され、米メディアによるといずれも民主党の候補が勝利を確実にした。2026年11月の米中間選挙の前哨戦として注目されていた。

民主党は24年大統領選での敗北から党勢の立て直しを進めている。

バージニア州は元米中央情報局(CIA)職員のスパンバーガー前下院議員が、ニュージャージー州は海軍ヘリのパイロットを務めた経歴を持つシェリル下院議員がそれぞれ当選を決めた。

いずれもインフレ対策など国民の生活に直結する経済政策を前面に押し出し、中道路線で共和党候補を破った。

両知事選は共和党のトランプ大統領の政策への有権者の評価を測る最初の指標になるとみられていた。両州とも民主党が優勢な「青い州」で、事前の世論調査でも民主党候補がリードしていた。

バージニア州のスパンバーガー氏は共和党候補のアールシアーズ同州副知事を破った。同州初の女性知事となる。勝利演説で「バージニアは党派主義でなく現実主義を選んだ。分断をあおるのではなく、問題解決を重視する指導力を選んだ」と述べた。

選挙戦ではトランプ氏の名指しは避けながら、同州に多い連邦政府職員の削減や、物価高を招く関税といった政権の政策が州民を困窮させていると批判していた。

トランプ氏は支持率が伸びなかったアールシアーズ氏への明確な支持表明を見送った。米メディアによると、3日夕に「電話選挙集会」に参加した際も共和党候補への支持を呼びかけながらアールシアーズ氏の名前には触れなかった。

ニュージャージー州のシェリル氏はトランプ氏の支持を受けた共和党のチャタレリ元州下院議員に勝利した。勝利演説でトランプ氏について「米国の理想から後退している」と批判し「子どもたちのための異なる未来のために闘う」と強調した。

ニュージャージー州知事に当選を確実にしたシェリル氏(右)=ロイター

米CNNの出口調査によると、トランプ氏への反対が投票理由の一つと答えた投票者がバージニア州で37%、ニュージャージー州で39%に上り、その大半が民主党候補に一票を投じた。

両州とも最も重要な問題として経済を挙げた投票者が多く、そのおよそ6割が民主党候補を支持した。スパンバーガー、シェリル両氏とも無党派層の過半数の支持を得て共和党支持者の一部も取り込んだ。

州知事選は州全体の有権者が対象のため、4日に実施した民主党が牙城とするニューヨークの市長選よりも党派色の異なる幅広い層の支持獲得が必要とされた。

左派と中道派の路線対立が続く民主党は今回の選挙結果を受け、26年11月の中間選挙への戦略づくりを急ぐ。

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