
一時は開催が危ぶまれた高市早苗首相と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席による日中首脳会談が10月31日、韓国・慶州でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて実現しました。決して良好とはいえない日本と中国の関係は改善に向かうのでしょうか。
東京財団主席研究員の柯隆氏はラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」と連動したNIKKEI LIVEに出演し、今回の結果を受けて「しばらくは日中首脳会談を開けないだろう」との見通しを示しました。
会談はうまくいかなかったのでしょうか。中国側が問題にしているのは会談の中身というより、高市氏が同じAPEC首脳会議に台湾の代表として参加した元行政院副院長(副首相)の林信義氏と会ったことにあるようです。中国側は日本に「猛烈な抗議」をしたと明かしています。
台湾はAPECに加盟しており、関連の会議に合わせて日本の首相が台湾の関係者に会うこと自体は珍しくありません。にもかかわらず中国が激しく反発している背景には「高市氏が自身のSNSに台湾の林氏と写った写真を載せたことがある」(日中関係筋)との見方が出ています。
高市氏の後ろ盾である自民党の麻生太郎副総裁が台湾に近いのは、衆目の一致するところです。台湾統一を悲願とする習氏は「独立分裂勢力」とみなす台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)政権に、高市政権が接近するのを強く警戒しているとみて間違いないでしょう。柯隆氏は「これからの日中関係は少し難しくなる」と予想しています。
柯隆氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。
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- 習近平体制に死角はないか、景気・人事・台湾……徹底討論
(編集委員 高橋哲史)
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