中国国防省は7日、中国軍の3隻目となる空母「福建」が就役したと発表した。中国海軍の空母はこれで3隻体制となり、東シナ海や太平洋地域での軍事活動がさらに活発化することが懸念される。
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国営新華社通信によると、海南省三亜の軍港で5日に開かれた記念式典には、軍トップを兼ねる習近平(シーチンピン)国家主席が出席したという。
福建は、米空母も用いる電磁カタパルト(射出装置)を中国軍の空母で初めて備えた。旧ソ連製を改修した1隻目の「遼寧」(2012年就役)と、初の国産空母となった2隻目の「山東」(19年就役)は甲板がそり上がるスキージャンプ方式で、艦載できる機種や燃料の重量に限界があった。
福建は22年6月に進水し、試験航行を重ねていた。中国海軍の発表によると、今年9月には電磁カタパルトによる発着艦訓練に成功。最新のステルス戦闘機「殲35」や海軍の主力機を改造した「殲15T」、早期警戒機「空警600」が参加した。
福建の就役で、3隻体制による「任務・訓練・整備」のローテーションを組むことができ、常に1隻が任務可能な態勢となることから、中国海軍の遠海での作戦能力は向上するとみられている。中国海軍は今年6月には空母2隻が同時に西太平洋で展開し、伊豆諸島からグアムを結ぶ「第2列島線」を越えるなどした。「福建」の就役でさらなる活動の活発化が懸念される。
習指導部は「今世紀半ばまでに世界一流の軍隊を築き上げる」としている。4隻目の空母もすでに建造が始まっているとされ、中国初の原子力空母だとの情報もある。
福建の就役をめぐり、木原稔官房長官は7日の会見で「福建の動向を含めて我が国周辺の軍事動向に対し、強い関心を持って注視しながら、冷静かつ毅然(きぜん)と対応していく」と述べた。
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