トランプ氏の顧問弁護士を務めたジュリアーニ元ニューヨーク市長=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米司法省幹部は10日、トランプ大統領が2020年の米大統領選の結果を覆そうとしたとされる側近らに恩赦を与えたと明らかにした。対象にはトランプ氏の顧問弁護士だったジュリアーニ元ニューヨーク市長やメドウズ元大統領首席補佐官が含まれている。

司法省で恩赦を担当するマーティン氏がX(旧ツイッター)にトランプ氏の署名入りの文書を投稿した。トランプ氏は文書で「2020年の大統領選後に米国民に対して犯された重大な国家的不当行為を終わらせる」と表明した。

文書には70人以上の名前が記載されているが、これ以外の関係者も対象になり得るとしている。トランプ氏自身は対象外と明記した。

米メディアによると文書に記載された対象者はいずれも現時点で連邦法による起訴を受けていないため、恩赦の恩恵がすぐに及ぶわけではない。将来の刑事訴追から保護される可能性がある。大統領の恩赦は州法による起訴には効力が及ばない。

米メディアは、トランプ氏らが20年大統領選で敗北した結果を覆そうとし、さらにそれが21年の連邦議会占拠事件につながったとの認識を変えようとする政権の試みの一環だと分析している。

トランプ氏は、20年大統領選で大規模な不正があったと根拠を示さずに主張している。議会占拠事件についても議会内に突入したのは「比較的少数の者たちだった」「警察官が招き入れた」といった発言をしている。

トランプ氏は2期目の就任初日に議会占拠事件で起訴された自身の支持者ら約1500人を恩赦した。米メディアは10月末、刑事裁判の文書で議会占拠事件の参加者を「暴徒の群れ」と記述した連邦検事が休職を命じられたと報じている。

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