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COP30の会場では、気候変動をめぐる偽情報の対策強化をめざす宣言に賛同した国の関係者らが集まるイベントが開かれた=2025年11月12日午後5時15分、ブラジル北部ベレン、福地慶太郎撮影

 国連教育科学文化機関(UNESCO)などは12日、気候変動に関する偽情報対策の強化をめざす宣言に国連気候変動会議(COP30)の議長国ブラジルなど12カ国が署名したと発表した。偽情報は対策の妨げになるとして、すべての人が正確な情報にアクセスできる体制構築をめざす。

 世界の科学者らでつくる国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温室効果ガスの排出といった人間活動が地球温暖化を引き起こしたのは「疑いの余地がない」と断定している。だが、気候変動を「史上最大の詐欺」などと発言したトランプ米大統領をはじめ、誤った情報の発信はやまない。

 宣言では、偽情報が気候変動対策を妨げ、社会の安定を脅かすと指摘。署名国の約束として、気候変動に関する正確で信頼性の高い報道を確保するための支援や、正確な情報へのアクセス促進を通じた気候変動対策の推進、気候変動の報道や研究をする人たちを保護するための協力と体制づくりなどを盛り込んだ。

 ブラジルのほか、カナダ、フランス、ドイツなどが署名。宣言の会見中にも新たな署名国が出たと発表された。今後さらに賛同数が増えそうだ。ブラジルのルラ大統領は10日のCOP30開会式で「偽情報の時代に反知性主義者たちは科学の証拠だけでなく、多国間主義の進展をも拒絶している。今こそ否定主義を敗北させるときだ」と演説していた。

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