トランプ米大統領=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】トランプ米大統領や側近らが2020年大統領選で敗北した南部ジョージア州の結果を覆そうとした罪に問われた裁判で、新たな検事が事件を担当すると表明した。当初の検事が不正疑惑で失格となり、裁判の継続が危ぶまれていた。

同州の超党派の検察官団体で事務局長を務めるピーター・スカンダラキス氏が声明で、自ら事件を引き継ぐと発表した。複数の検事に打診したが断られたと説明し、後任が決まらず起訴の却下を招くことは「正しい対応ではないと考えた」と述べた。「この事件の結果には市民の正当な関心がある」と指摘した。

スカンダラキス氏は引き継いだ証拠や資料を精査して今後の対応を決めるとしている。いくつかのケースが考えられ、全ての罪状について裁判を進める、一部に限定する、起訴を全て取り下げる可能性もあるとみられる。

現職の大統領であるトランプ氏に対する裁判を継続できるかどうかは不透明だ。

同裁判ではトランプ氏のほかトランプ氏の顧問弁護士だったジュリアーニ元ニューヨーク市長やメドウズ元大統領首席補佐官ら十数人が起訴された。トランプ氏は10日にジュリアーニ、メドウズ両氏らへの恩赦を発表したが、大統領の恩赦は州法による起訴には効力が及ばない。

当初事件を担当していた同州フルトン郡のファニ・ウィリス地区検事は、特別検察官に起用した元不倫相手との不適切な関係などが問題視され、担当を外された。

トランプ氏は4つの刑事事件で起訴された。連邦レベルの起訴2件は2期目の就任前に検察がいずれも取り下げた。東部ニューヨーク州で不倫口止め料を不正に処理した罪に問われた事件では刑罰を科さない有罪の判決を受けた。トランプ氏は控訴している。

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