韓国国防省は17日、偶発的な衝突回避に向け、北朝鮮に軍事当局者間の会談開催を提案したと発表した。韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線の位置を示す標識の多くがなくなり、北朝鮮軍が南側に侵入するケースが頻発しているといい、緊張緩和のために、「基準線」の設定について話し合いを呼びかけた。

 李在明(イジェミョン)政権の発足以降で韓国が軍事会談の提案を明らかにしたのは初めてとみられる。

 同省によると、1953年に朝鮮戦争の休戦協定が結ばれ、境界線を示す約1300の標識が設置されたが、雨で流失するなどし、一部の境界の位置について南北間で認識の違いが見られる状態だという。

 こうした中、北朝鮮軍が軍事用の道路工事をしたり地雷を敷設したりする過程で南側に侵犯する事例が続き、韓国軍はその都度、警告の放送や射撃を実施。国防省関係者によると、北朝鮮側による侵犯行為は今年だけで約10回に及び、偶発的な衝突の危険性が高まっていた。軍事会談では緊張緩和に向けた基準線の設定が主な議題になるという。

 韓国側は会談の日時や場所は今後、軍事境界線にある板門店で協議するとしている。韓国・統一研究院の洪珉(ホンミン)先任研究委員は、北朝鮮が韓国を「敵対国家」と見なしていることから「提案に応じる可能性は非常に低い」とみている。

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