【ロンドン=共同】英国内の情報収集を担う情報局保安部(MI5)は18日、中国当局のスパイが企業のヘッドハンティングを装って英議会関係者に接触を試みているとして注意を呼びかけた。政府や議会の機密情報にアクセスできる人物を狙っているという。英政府は同日、スパイ活動の対策強化を表明した。

英国ではロンドン中心部に中国大使館を移転する計画を巡り、市民の間で中国当局によるスパイ活動への警戒感が高まっている。英政府が認めなければ英中関係に影響する可能性があるが、MI5の注意喚起を受けて野党は移転を拒否するよう求めた。中国大使館の報道官は「捏造(ねつぞう)で悪意ある中傷だ。厳重に抗議した」との声明を出した。

英メディアなどによると、中国でスパイ摘発などを担う情報機関、国家安全省がビジネス向け交流サイト(SNS)「リンクトイン」で企業幹部の採用に見せかけ議員に接触しているとMI5は説明。「機密情報を入手し戦略的に優位に立とうとしている」と指摘した。スパイとみられる人物2人の名前も公表した。

英政府は中国が「価値が低そうな情報でも集めてつなぎ合わせる」としエコノミスト、シンクタンクや政府の職員も狙われていると指摘。来年、警察や国家サイバーセキュリティーセンターのスパイ対策強化に1億3千万ポンド(約265億円)を投じると明らかにした。

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