
【ニューヨーク=西邨紘子】カナダのカーニー首相は22日、首都オタワで会見を開き、米国からの輸入品の多くを報復関税の対象から除外すると表明した。食品や家電など幅広い製品が対象で、9月1日より適用する。交渉が難航してきた米国との通商協定合意に向け、譲歩の姿勢を示した。
関税除外の対象となるのは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の条件を満たす米国製品。自動車、アルミニウム、鉄鋼への関税は維持する。
米国は3月、カナダ政府が合成麻薬「フェンタニル」の米国への密輸対策を怠っているとして、同国製品に25%の追加関税を課した。これに対し、カナダも米国製品に同率の報復関税を発表した。
米国はその後、カナダのフェンタニル対策の進展が不十分と主張し、8月1日に追加関税の税率を35%に引き上げた。ただ、その際にUSMCAの条件を満たす製品を除外した。これにより多くのカナダ製品が追加関税の対象から外れた。
カーニー首相は米国のこの措置によってカナダ製品に対する米国の実質平均関税率は5.6%に下がり「(米国の)貿易相手国の中で最も低い水準を維持している」と説明した。カナダ側が同様の措置をとることで「カナダと米国は、両国の製品の大部分について自由貿易を再構築した」と意義づけた。
カーニー首相は今回の発表に先立ち、21日にトランプ米大統領と協議し、交渉の進展に前向きな手応えを得たもようだ。今後は「戦略的分野の貿易協定についての話し合いに加え、投資や安全保障の分野で目前の大きな機会を捉えるための協議を集中して進めていく」(カーニー首相)と関係構築に前向きな姿勢を見せた。
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