
【ベレン(ブラジル北部)=井田正利】第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)は21日、議長国のブラジルが合意文書「ムチラン決定」の修正案を示した。化石燃料からの脱却に向けた行程表(ロードマップ)の策定は、反対する国に配慮して削除した。
18日に示した草案は化石燃料への依存度を段階的に下げるための「移行行程表の策定を支援する」との項目が入っていた。脱化石燃料を訴える国からは削除への反発も予想される。
行程表は正式な議題になっていなかったものの、10日にブラジルが呼びかけた。英国やドイツといった欧州各国に加え、コロンビアやモンゴルなど80カ国以上が賛同していた。産油国のほか、化石燃料への依存度が高い中国やインドは反対姿勢を示した。
日本も否定的だった。老朽化した石炭火力発電所を廃止しつつ、徐々に依存度を低減する方針で、環境省幹部は「化石燃料をいきなりゼロにすることはできない」と話す。
修正案は気候災害への対策資金の目標に関し「3倍に増やす努力をするよう求める」と記した。途上国は30年までに現行の3倍にするよう要求していた。日本や欧州連合(EU)はさらなる資金の負担に慎重な姿勢を崩しておらず「努力」との表現に改めた。
気候変動対策の途上国向け資金援助は「資金に関する2年間の作業計画を策定することを決定する」と記載した。COP29では35年までに先進国を中心に3000億ドルを拠出し、世界全体で官民合わせて1.3兆ドルを用意する枠組みが決まっている。
COP30を巡っては会場内で20日に発生した火災の影響で交渉が中断した。会期の延長は避けられないとの見方が出ている。
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