【ベレン(ブラジル北部)=井田正利】第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)は予定していた会期末の21日までに合意できなかった。会期を延長して合意を目指す。2026年開催予定のCOP31はトルコが議長国を務め、同国で開く。

全体会合で発言したCOP30のコヘアドラゴ議長㊨(21日、ブラジル・ベレン)=AP

COP30のコヘアドラゴ議長は21日午前に開いた全体会合で「パリ協定を強化しなければ全員が損をする。協力こそが最善の道で、我々は合意しなければならない」と訴えた。

意見の隔たりは埋まっていない。焦点は化石燃料からの脱却に向けた行程表を策定するかどうか。正式な議題ではないものの、議長国ブラジルの10日の提案に欧州各国やコロンビアなど80カ国以上が賛同した。

サウジアラビアなど産油国や中国など化石燃料依存度の高い国は支持していない。日本も距離を置く。ブラジルが21日午前に示した合意文書の草案では、関連する文言が削除された。18日段階では盛り込まれていたものの、反対する国に配慮した。

行程表を求める国からは反発が出た。コロンビアのトレス環境相代理は21日の記者会見で「中身のない文書を求めているわけではない」と強調した。欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会のフックストラ委員(気候変動担当)は同日、仏AFP通信に「我々は合意に至らない可能性に直面している」と語った。

COPは会期を1〜2日間ほど延長することが多い。ブラジルは早期妥結を目指していたが、実現しなかった。20日午後に発生した火災により会場が一時封鎖され、交渉が中断したことも影響した。

COP31は開催地と議長国ともトルコに

一方、国連条約の事務局が公表した資料によると、COP31はトルコが議長国を担う。同国南部で地中海に面したアンタルヤで開催する。トルコはCOP31にともなう首脳サミットも主催する。

開催地に立候補していたオーストラリアは副議長となり、実際の交渉のまとめ役を担う。COP開催前の準備会合(プレCOP)は豪州が支援して太平洋の島しょ国で開く。

COPは締約国が交代で開く。開催地が決まらない場合は国連気候変動枠組み条約の事務局があるドイツ・ボンで開く。

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