ヒマラヤ山脈のふもとにあるインド北部ウッタラカンド州で、人がクマに襲われる事例が相次いでいる。タイムズ・オブ・インディア紙は17日、今年に入り計6人が死亡したとし、えさとなる果物の不作など、ヒマラヤ地方での環境変化の影響が背景にあると報じた。
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同紙によると、この地域に生息するのはツキノワグマ(ヒマラヤグマ)で、過去25年で2009人のけが人が報告されている。年間6人の死者は、州が成立した2000年以降で最も多いという。
現地報道によると、州内では今月20日、森で家畜用のエサになる草をとっていた女性がクマに襲われ、顔と頭に大けがをして病院に空路で搬送された。また、インディアン・エクスプレス紙によると、同州ガルワール地区では過去3カ月間に、住民が飼育する牛45頭以上がクマに襲われたという。州内ではクマの目撃情報が日々報告されており、怖がって学校を休む子どももいるという。
ウッタラカンド州にはヒマラヤを目指す登山客らも多く訪れる。タイムズ・オブ・インディア紙は、果物や植物の不作に加え、道路網の整備で野生動物のえさ場が減り、人里で育てられる果物やゴミをえさにするクマが増えた可能性を指摘。「ヒマラヤ地域における土地利用と耕作体系の変化が、クマとの遭遇による問題を悪化させている」との専門家の意見を紹介した。
同紙によると、豪雨で巣穴が壊れ、クマの居場所がなくなったことを指摘する住民もいるという。ウッタラカンド州では鉄砲水や土砂崩れが相次いでおり、気候変動の影響も懸念されている。
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