
【ワシントン=芦塚智子】米連邦地裁は24日、トランプ米大統領の政敵であるコミー元米連邦捜査局(FBI)長官とジェームズ・ニューヨーク州司法長官への起訴を却下した。起訴の手続きに問題があったと判断した。政敵への「報復」を公言してきたトランプ氏にとっては逆風となる。
コミー氏は連邦議会に虚偽の証言をした罪と議会の手続きを妨害した罪で、ジェームズ氏は住宅ローン詐欺の罪で起訴されていた。
連邦地裁は、連邦大陪審に起訴を要請したハリガン暫定連邦検事の任命は違法であり、無効だと判断した。連邦地裁は起訴を却下したものの、検察側が正しい手続きを踏んで再起訴することは認めた。
レビット大統領報道官は米FOXニュースで「ハリガン氏は極めて適格であるだけでなく、合法的に任命された」と主張。司法省が近く控訴すると説明した。
トランプ氏は9月、SNSでボンディ司法長官に公然とコミー、ジェームズ両氏らの起訴を要求。起訴を拒んだとされる暫定連邦検事を解任し、後任に側近の弁護士ハリガン氏を据えるようボンディ氏に指示した。就任したばかりのハリガン氏が大陪審に両氏の起訴を要請した。
地裁は、ハリガン氏を「検察の経験が全くないホワイトハウスの元補佐官」と呼び、ハリガン氏の任命を無効とする被告側の主張に同意すると述べた。ハリガン氏に起訴を要請する権限はなかったため、起訴を却下すると説明した。
連邦法は、司法長官が暫定検事を任命できる期間を120日に限定している。その期間を過ぎても大統領が指名した検事が上院で承認されない場合は、地裁に暫定検事の任命権限が移る。地裁は今回の判断で、ハリガン氏の前任者の在任期間がすでに120日を超えていたため、後任の任命権限は地裁にあったと指摘。ボンディ氏によるハリガン氏の任命は違法だとした。
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