ガザ北部ガザ市近郊で、イスラエル軍による攻撃後に上がる煙(23日)=ゲッティ・共同

【エルサレム=共同】英紙ガーディアンなどは23日までに、イスラエル軍の5月の機密データに基づき、パレスチナ自治区ガザで殺害されたパレスチナ人の8割以上は民間人だったと報じた。同紙は「近年の紛争で民間人死者の割合が極めて高い」と指摘。軍は多数の民間人犠牲者が出ていることを認識しながら攻撃を続けている可能性が高く、批判が強まりそうだ。

報道によると、イスラエル軍は2023年10月のガザ戦闘開始から約19カ月となる今年5月、「死亡」したイスラム組織ハマスなどの戦闘員は7330人、「恐らく死亡」は1570人で、合計8900人に上ると分析。当時のガザ側死者は約5万3千人で、犠牲者のうち戦闘員は約17%に過ぎず、約83%が民間人だった計算になる。

ガーディアンは、市民の虐殺が疑われるシリアやスーダンの内戦と比べても、ガザでの民間人犠牲の比率は極めて高いと強調。イスラエルは「民間人の犠牲を最小限に抑えている」と主張し、ガザへの攻撃を正当化しているが、犠牲者には女性や子どもが多く、疑問視する声が上がっている。

イスラエル政府はガザの中心都市、北部ガザ市制圧計画を決定。周辺での攻撃を強めており、パレスチナ通信は24日、ガザ市の複数箇所に砲撃があったと伝えた。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、12〜20日にガザ市から1万6千人以上が避難を余儀なくされた。

国連は22日、ガザ市で飢饉が起きていると認定。同市では約100万人が避難生活を送っているとされ、制圧計画が本格化すれば人道危機が一層深まるのは必至だ。

ガザ保健当局は24日、戦闘開始後のガザ側死者が6万2686人になったと発表した。飢餓や栄養失調による死者は289人になった。

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