米連邦最高裁のロバーツ長官(右端)ら=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は5日、米国で生まれた子供に自動的に国籍を与える「出生地主義」の修正を命じたトランプ大統領の大統領令について、合憲性を審理すると発表した。2026年の夏までに判断を下す。

最高裁は26年春ごろまでに口頭弁論を開く見通しだ。判断は留学や駐在などで米国滞在中に出産する日本人にも影響する。

トランプ氏は2期目の就任初日の1月20日、子供が米国内で生まれても父親が米国籍や永住権を保持しておらず、母親が不法滞在や査証(ビザ)による一時滞在の場合は米国籍を与えないとする大統領令に署名した。

市民団体などが大統領令は違憲だとして提訴し、下級審が大統領令の発効を差し止めた。政権がこれを不服として最高裁に審理を求めていた。

米国の憲法修正第14条は「米国で生まれ、あるいは帰化し、及びその司法権に属する者は米国の市民である」と明記している。これが長年にわたり出生地主義の根拠とされてきた。

政権は、14条の規定は当時解放された奴隷とその子供に国籍を与えるために設けられたもので、米国に一時滞在する外国人や不法移民の子供は対象でないと主張している。

最高裁は今年6月、出生地主義修正の大統領令を巡り、連邦地裁による全国的な差し止め命令を制限する判断を下した。大統領令そのものの合憲性については見解を示さなかった。今回は政権側が具体的に大統領令の合憲性についての判断を求めている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。