
【ジュネーブ=共同】スイスで開催された対人地雷禁止条約(オタワ条約)の締約国会議は5日、ロシアのウクライナ侵略を受けて欧州5カ国が今年相次いで脱退を決めたことに「遺憾の意」を示す最終報告書を議場の総意で採択し閉幕した。
報告書は、ロシアとの戦闘を理由に条約の「運用停止」を一方的に表明したウクライナを巡り「条約は運用停止を認めていない」と明記。ウクライナに対し、締約国として条約への関与を継続するよう求めた。
議長を務めた軍縮会議日本政府代表部の市川とみ子大使は閉幕後、記者団に対し「いろいろな動きがある中、コンセンサス(総意)でこの条約を守っていくという意思が示された」と述べ、条約の重要性を再確認する機会になったとの認識を示した。
脱退を決めた5カ国はバルト3国とポーランド、フィンランドで、いずれもロシアの近隣国。軍事的緊張が高まる中、領土防衛の観点から対人地雷が必要だと判断したとみられるが、会議では条約の弱体化につながるとの声が続出した。
報告書はこうした懸念を念頭に「全ての国が条約へ加入することの重要性」を強調。条約の体制強化を目指し「精力的に取り組む決意」を表明した。
オタワ条約は対人地雷の廃絶を掲げ、使用や生産などを禁じる。166の国・地域が加盟するが、ロシアや米国、中国などは加盟していない。
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