パナソニックコネクトの樋口CEOはブルーヨンダーがけん引する事業改革を「必ず成功させなければならない」と話した(8日、東京都中央区)

パナソニックホールディングス(HD)の子会社、パナソニックコネクトの樋口泰行・最高経営責任者(CEO)が2026年3月末に退任する。樋口氏は8日、日本経済新聞などの取材に対し、パナソニックコネクト傘下のサプライチェーン管理ソフト・米ブルーヨンダーについて「最後のテイクオフ(離陸)まで見届けられないのは少し心残りもある」と話した。

樋口氏はパナソニックコネクトのCEO職を退いた後、シニア・エグゼクティブ・アドバイザーとして顧問の役割を担う。後任のCEOとなるケネス・ウィリアム・セイン執行役員について「プロの経営者としてより力強く推進できる」と述べた。

CEO退任の背景については「68歳となり70歳も近くなると、次の世代に頑張ってもらいたいと考えた。後継者へのトランジションが課題だと思っていた」と説明した。

パナソニックHDは21年に約8600億円を投じてブルーヨンダーを買収した。25年3月期の有価証券報告書によると、パナソニックHDはブルーヨンダーののれんとして9475億円を計上している。

将来的に回収可能な価値と帳簿価額との差を、帳簿価額で割って計算する「余裕率」について、樋口氏は「20%を超えている」と述べた。余裕率がマイナスになると減損損失を計上すべき状態になる。

樋口氏は現状「減損リスクはない」との見方を示した。戦略投資を一通り終え、今後の利益回収につなげる考えだ。一定の無形資産を毎年償却していることから「余裕率は毎年上がり、年々減損リスクが小さくなるというイメージ」と話した。

ブルーヨンダーはM&A(合併・買収)や製品開発投資がかさみ、連結ベースでの黒字化に時間がかかっている。買収後の余裕率の推移について、西川岳志・最高財務責任者(CFO)は「決して悪化はしていない」と説明した。

樋口氏は17年にパナソニック(現パナソニックHD)の代表取締役専務執行役員に就任し、あわせてパナソニックコネクトの前身にあたるコネクティッドソリューションズ社の社長に就いた。その後はブルーヨンダーの買収を主導してきた。

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