ニューヨークのウォール街=遠藤啓生撮影

【NQNニューヨーク=戸部実華】8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は朝高後に下落した。午前9時35分現在は前週末比68ドル36セント安の4万7886ドル63セントで推移している。米連邦準備理事会(FRB)が今週利下げを決めるとの観測が相場を支えている一方、主要株価指数が最高値に近づき、利益確定の売りも出やすい。

FRBは9〜10日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。市場は米労働市場の減速を背景に0.25%の利下げに動くと見込んでいる。前週末発表の9月の米個人消費支出(PCE)物価指数は市場予想並みとなった。3会合連続の利下げを決めるとの観測が主力株への買いを引き続き支えている。

ダウ平均は200ドル近く下げる場面があった。インフレは政策目標の2%を上回ったままで「中央銀行が2026年の政策をどう考えているかのヒントは投資家の大きな注目を集める」(SIAウェルス・マネジメントのコリン・チェシンスキ氏)とみられる。委員らの政策金利見通しやパウエル議長の記者会見を見極めたい雰囲気も強い。

ダウ平均は11月12日に付けた最高値(4万8254ドル)、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は10月28日に付けた最高値(6890)にそれぞれ迫っている。高値警戒感もあり、目先の利益確定や持ち高調整の売りも出やすい。

個別銘柄ではスリーエム(3M)やホーム・デポ、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が売られている。キャタピラーやメルクも安い。

IBMが高い。データをリアルタイムで分析・処理するプラットフォームを手掛けるコンフルエントを110億ドルで買収すると8日発表した。人工知能(AI)の活用が広がる環境で収益貢献につながるとして好感された。ダウ平均の構成銘柄ではないが、コンフルエントは急騰している。エヌビディアやマイクロソフトも上昇している。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は一進一退で推移している。半導体のブロードコムが高い。ネットメディアのジ・インフォメーションが前週末にマイクロソフトが将来のカスタム半導体を巡り、マーベル・テクノロジーに代わってブロードコムと協議していると伝えた。半面、テスラが下落している。

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