8日に再燃したタイとカンボジアの国境紛争で、両国軍は9日も国境の係争地を中心に複数の場所で攻撃があったと互いに主張した。死者数は両国で少なくとも計10人となり、軍事衝突の激化が懸念されている。
- 【そもそも解説】タイ・カンボジアの紛争、なぜ過熱? 対立の根源は
現地報道によると、新たに東部トラート県の国境地帯でも戦闘が起きた。タイ軍は、9日未明からカンボジア軍が多連装ロケットやドローン(無人機)などでタイ側に継続的に攻撃を行ったと非難。一方、タイ軍は国境地帯にある係争地の集落などを支配下に置いたとしている。
9日午後時点でタイ兵の死者数は計3人となり、民間人への影響も拡大。12万人以上が避難所に身を寄せ、6県で計990校が休校となっている。
カンボジア国防省は9日午前の時点で、民間人の死者数が計7人になったと発表。タイ軍が「夜通し断続的な銃撃を続けた」と主張し、トランプ米大統領らの仲介で10月に署名した和平合意にタイが違反して「再侵略を行った」と非難した。カンボジア国防省は8日時点で、「和平合意に違反するいかなる行動も取っていない」としている。ただ、カンボジアのフン・セン前首相は9日、SNSに「我々は自衛のために再び戦う」と記した。
国連のグテーレス事務総長は8日、報道官を通じ、両国の紛争再燃に「懸念を抱いている」との声明を発表。双方に自制を求め、和平合意に基づき緊張緩和を進めるよう促した。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。