
【リュブリャナ=北松円香】フランス外務省は25日、米国のチャールズ・クシュナー駐仏大使を呼び出した。同氏がマクロン仏大統領宛ての書簡で仏国内のユダヤ人差別に十分対応していないと批判したことに対し、内政干渉だとして抗議するのが目的。クシュナー氏はトランプ米大統領の娘イバンカ氏の義理の父親だ。
クシュナー氏は24日、「エマニュエル・マクロンへの手紙」と題した米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で「反ユダヤ主義の劇的な深刻化と、仏政府による対応不足」を批判していた。
クシュナー氏は「フランスではユダヤ人が道ばたで攻撃されたり、シナゴーグや(ユダヤ人向けの)学校が傷つけられたり、ユダヤ人のビジネスが襲撃を受けたりしない日はない」と主張した。
仏外務省は同日、クシュナー氏の批判は内政干渉であり国際法違反だとして「受け入れがたい」との声明を発表した。フランスは反ユダヤ主義に全力で対応しているとした。
マクロン氏は7月下旬に主要7カ国(G7)で初めてパレスチナを国家として承認する意向を表明し、カナダや英国も続いた。トランプ氏は国家承認に否定的で、パレスチナ問題を巡る米仏の溝が深まっている。
クシュナー氏はトランプ氏の娘婿で第1次政権で大統領上級顧問だったジャレッド・クシュナー氏の父にあたる。過去に脱税などで有罪となったものの、1次政権だった2020年12月に恩赦を受けた。トランプ氏が昨年11月30日に駐仏大使に指名した。
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