タイとカンボジアの国境紛争で、タイ軍の空爆が広範囲に広がっている。カンボジア政府は15日、国境から約50キロ離れた中部シエムレアプ州まで攻撃がおよんだと発表し、タイ側を批判した。16日も国境付近の複数の地点で砲撃が続いていると主張している。

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 カンボジア国防省によると、15日午前、タイ軍のF16戦闘機がシエムレアプ州北端のスレイスナム地区の避難民キャンプ付近に爆弾を投下したという。外務省は「明らかに不均衡で不当な武力行使だ」と非難した。

 外国人観光客も多く訪れる州中心部の世界遺産「アンコール遺跡群」からは、約60キロの距離に位置する。国防省は16日も国境付近で砲撃や歩兵部隊による攻撃が続いているとした上で、「我が軍は毅然(きぜん)と抵抗し、領土を守るために反撃した」と表明した。

 一方、タイ空軍報道官は記者会見で「国際法や規則で、軍事目標は国境からの距離ではなく、目的と特性に基づいて定義される」と述べ、シエムレアプ州付近を空爆したことを事実上、認めた。民間人には影響を与えていないと主張している。

 8日に再燃した国境紛争をめぐり、トランプ米大統領は12日に双方の首相と協議し、双方が攻撃停止に同意したと自身のSNSで明らかにした。両首相やトランプ氏と協議したマレーシアのアンワル首相は、13日夜に停戦期限が設定されたとしたが、その後も双方の攻撃がやまず、歯止めがかからなくなっている。

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