ニューヨークのウォール街=遠藤啓生撮影

【NQNニューヨーク=森川サリー】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落して始まり、午前9時35分現在は前日比13ドル48セント安の4万8403ドル08セントで推移している。ディフェンシブ株の一角に売りが出ている。同日発表の米経済指標は強弱が入り交じる内容で、積極的な買いが入りにくい面もある。

16日発表の11月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月に比べ6万4000人増え、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(4万5000人増)を上回った。同時に発表された10月分は同10万5000人減だった。失業率は4.6%と市場予想(4.5%)より高くなり、2021年9月以来の高水準となった。

10月分は、米連邦政府の早期退職プログラムに応募した人が雇用者から外れた影響が大きかった。9月分は11万9000人増から10万8000人増に引き下げられた。市場では「米労働市場の減速を示した」(CIBCキャピタル・マーケッツのアリ・ジャフェリー氏)との指摘があった。

同日発表の11月の米小売売上高は前月比で横ばいと、市場予想(0.1%増)に届かなかった。半面、自動車・自動車部品を除くと、同0.4%増となり、市場予想の0.2%増を上回った。市場では、雇用統計と小売売上高が米連邦準備理事会(FRB)による一段の利下げを正当化するほどではないとの受け止めがあった。

米債券市場では長期金利が前日終値(4.17%)から0.03%低い4.14%に低下した後、上昇に転じる場面があった。株式市場でも運用リスクを取りにくいとして、売りが出ている面がある。ダウ平均の下げ幅は一時300ドルを超えた。

ダウ平均の構成銘柄では、メルクやユナイテッドヘルス・グループ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が売られている。IBMとシェブロン、JPモルガン・チェースも安い。一方、ウォルト・ディズニーとボーイングが上昇している。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4日続落して始まった。

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