ニューヨークのウォール街=遠藤啓生撮影

【NQNニューヨーク=稲場三奈】18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発して始まり、午前9時35分現在は前日比349ドル72セント高の4万8235ドル69セントで推移している。朝発表の11月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回った。インフレが鈍化しているとの見方から株買いが入り、一時400ドル超高となる場面もある。

11月の米CPIは前年同月比の上昇率が2.7%と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(3.1%)を下回った。米政府機関の一部閉鎖の影響で10月分の発表がなかった。9月と比べると0.2%の上昇と小幅にとどまった。エネルギーと食品を除くコアは前年同月比2.6%上昇と、市場予想(3.0%上昇)以下だった。

市場では「米連邦準備理事会(FRB)の年明け以降の追加利下げを後押しする結果となった」(CIBCキャピタル・マーケッツのアンドリュー・グランサム氏)との受け止めがあった。CPI発表直後には米長期金利が低下(債券価格は上昇)し、一時は前日比0.05%低い4.10%を付けた。株買いの追い風となっている面もある。

同じく朝発表の週間の米新規失業保険申請件数は22万4000件と、市場予想(22万5000件)をやや下回った。12月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数はマイナス10.2と、市場予想(プラス2.0)を大きく下回った。インフレが落ち着く中で景気の減速感が強まれば、FRBが追加利下げに踏み切りやすいとの観測につながった。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーが大幅に上昇し、17%近く上げる場面があった。17日夕に発表した2025年9〜11月期決算では売上高と特別項目を除く1株利益が市場予想を上回った。25年12月〜26年2月期見通しも市場予想を上回る内容で、好感した買いが集まっている。

人工知能(AI)関連の需要が腰折れしていないとの見方から、エヌビディアやキャタピラーには買いが入っている。ダウ平均の構成銘柄以外ではオラクルやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も高い。

そのほかのダウ平均の構成銘柄では、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コム、ボーイングが高い。ホーム・デポやナイキにも買いが入っている。半面、ユナイテッドヘルス・グループやシェブロン、IBMは下げている。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は反発して始まった。

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