イスラエル軍の攻撃で破壊された厳しい状況下のガザ市で、生活するパレスチナの人々(19日)=ゲッティ共同

【ニューヨーク=共同】国連は19日、パレスチナ自治区ガザについて、10月の停戦発効後、人道支援物資の搬入が進んだことにより「飢饉(ききん)の状態は脱した」と発表した。国際指標を作る関係組織IPCは報告書で、依然として約10万4千人が食料不安の5段階のうち「最も深刻な状態」にあると指摘した。

グテレス国連事務総長は、状況改善を歓迎しつつ「恒久的な停戦が必要だ」と訴えた。

IPCはガザ全体で「飢饉」に該当する地域はないとした。一方で約160万人が高度の急性食料不安に直面しているとし、そのうち約10万4千人は飢餓や貧困の「壊滅的状態」にあると警告した。

停戦や物資の搬入がこのまま続けば来年4月には、食料不安で「最も深刻な状態」に当たる人は約1900人まで減少すると予測。一方、戦闘が再開されたり物資の搬入が停止されたりした場合には、再び飢饉が起きる危険があると強調した。

IPCは8月、ガザの中心都市ガザ市で飢饉が起きていると認定していた。IPCは「特定地域の人口の少なくとも2割が極度の食料不足」に直面するなど食糧難、栄養失調、死亡率の三つの条件を満たした場合に飢饉と判断する。

イスラエルのダノン国連大使は「これまでもガザに飢饉は存在しないと言ってきた」と指摘し、十分な量の支援物資の搬入をイスラエルは過去も現在も認めていると主張した。

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