20日、都内で初の「中央アジア+日本」首脳会合に出席した高市首相(右から3人目)と5カ国大統領=ロイター

日本と中央アジア5カ国による初の首脳会合が19〜20日、都内で開かれた。中国やロシアなどに挟まれた要衝で、天然資源も豊かな中央アジアと関係を多様化するための足がかりとしてほしい。

首脳会合にはカザフスタンとウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの旧ソ連5カ国の大統領が出席した。脱炭素や環境保全、人工知能(AI)や物流、人づくりなどで協力を広げる東京宣言を採択した。

高市早苗首相にとっては議長を務める初の国際会議となった。首相は首脳会合で「人口は増え続け、急速な経済発展を遂げている」と述べ、中央アジアとの関係を拡大する方針を表明した。

中央アジアは石油やウラン、レアメタル(希少金属)など天然資源で注目され、経済安全保障で国際的な重要性が増している。日本の投資もこれまで資源分野が目立っていたが、首脳会合で総額3兆円規模の様々な民間事業を5年で実施する目標を設定したことは評価できる。

ウクライナ侵略を続けるロシアを経由せずユーラシアの東西を結ぶ「カスピ海ルート」の貿易ルートの整備にも世界の注目が集まる。5カ国は外洋に面していない「内陸国」で、日本が貿易促進へカスピ海ルートの円滑化に協力を表明したことも有益だ。

5カ国は1991年のソ連崩壊で独立を果たし、その国造りを日本は長く支援してきた。2004年には他国に先駆けて対話の枠組み「中央アジア+日本」を立ち上げ、今回の首脳会合につなげた。

同様の枠組み作りは中ロや米欧などに広がり、首脳会合も相次いでいた。日本も初の首脳会合を機に、積み重ねてきた信頼関係を新たな水準に引き上げたい。

中央アジアは強権的な中ロやイランに囲まれ、影響を受けやすい。首脳会合で法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた協力を確認したことは重要だ。様々な協力を通じ民主化や経済改革を後押しすべきだ。

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