東部ニューヨーク州などでインフルエンザの感染が広がっている(10月、ニューヨーク州)=ロイター

【ヒューストン=赤木俊介】米国でインフルエンザウイルスの変異型の感染が拡大している。H3N2型のサブクレードK(K亜系統)と呼ばれるタイプで、米疾病対策センター(CDC)の調査ではインフル感染全体の8割を占めた。免疫が効きにくいとされ、日本でもこの変異型の感染が広がっている。

インフルエンザウイルスは大きく分けるとA〜Dの4種類が存在し、ヒトに感染するA型は変異しやすいとされている。H3N2型はA型のウイルスの一種で、サブクレードKはその派生だ。CDCが9月28日〜12月13日に解析したサンプル調査で8割がサブクレードKだった。

サブクレードKは既存の免疫が効きづらいという指摘がある。

米ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院で疫学を研究するアンドリュー・ペコシュ教授は12月16日の記者会見で、サブクレードKは「米国でのインフルエンザの症例を増加させている」と述べた。既存のインフルエンザワクチンによる免疫効果をすり抜ける遺伝子変異を持つ可能性があるという。従来のH3N2型よりも重症化リスクが高いかは不明とした。

ペコシュ氏やCDCはワクチンは感染を防げなくても、重症化リスクを抑えられるとして接種を推奨している。

米国は10月ごろからインフルエンザなど呼吸器感染症の流行シーズンに入った。感染者数はすでに400万人を超えている。CDCは東部のニューヨーク州、ニュージャージー州、ロードアイランド州、南部ルイジアナ州、そして西部コロラド州で呼吸器疾患を引き起こすウイルスの活動レベルが「非常に高い」と報告した。

CDCの調査では12月6日時点で18歳以上の米成人の42%がインフルエンザワクチンを接種した。

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