ノボは糖尿病治療薬「オゼンピック」や肥満症薬「ウゴービ」を手がける=ロイター

【ヒューストン=赤木俊介】デンマーク製薬大手のノボ・ノルディスクは22日、米食品医薬品局(FDA)が経口タイプの肥満症治療薬「ウゴービ」を承認したと発表した。経口タイプの肥満薬が米国で承認されるのは初めて。早ければ2026年1月に発売する。米肥満薬市場でのシェア拡大へ追い風となる。

ノボによると、承認された経口タイプのウゴービは1日1回の経口投与が必要となる。第3相臨床試験(治験)では平均16.6%の体重減少を確認した。注射剤のウゴービとほぼ同じ減量効果だという。承認を受け、米株式市場では時間外でノボの株価が22日終値比で一時8%上げた。

ノボのマシアル・ドゥスター社長兼最高経営責任者(CEO)は22日の声明で「1日1回服用の便利な錠剤で、注射剤のウゴービと同じ減量効果が期待できる」と説明した。ノボは欧州医薬品庁(EMA)に対しても経口タイプのウゴービの販売承認を申請している。

現在、肥満薬は注射剤が主流だ。注射が苦手な層を取り込むため、製薬大手は経口タイプの肥満薬の開発を競っている。米ゴールドマン・サックスは5月の分析で経口タイプの肥満薬が30年までに肥満薬市場の売り上げの25%ほどを占めると予想した。

米製薬大手イーライ・リリーも経口肥満薬の最終段階の臨床試験を進めている。米国の肥満薬市場ではノボが先行していたが、直近はリリーが同市場のシェアでノボを追い抜いた。好調な肥満薬の販売によりリリーの時価総額は11月下旬、一時1兆ドル(約156兆円)に到達し、製薬企業として初めて「1兆ドルクラブ」入りを果たした。

【関連記事】

  • ・米政権、肥満症薬の薬価引き下げ ノボやイーライ・リリーと合意
  • ・米肥満率が3年連続で低下 成人の12%が専門薬使用、米欧で買収合戦
  • ・ノボと米ファイザー、米肥満症薬巡り買収合戦 熱望の14兆円市場
BUSINESS DAILY by NIKKEI

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。