
【モスクワ=共同】ロシア海運最大手ソフコムフロートは26日までに、北極海航路で液化天然ガス(LNG)を輸送するためのロシア国産初の砕氷タンカー「アレクセイ・コスイギン」を公開した。ウクライナ侵略後、外国製の砕氷タンカーも欧米による制裁対象となり、北極圏のLNGの輸送手段に課題を抱えるロシアは、国産船の建造が急務となっていた。
このタンカーは、ロシアのガス大手ノバテクが主導し、日本が権益の一部を持つ北極圏のLNG開発事業「アークティックLNG2(アーク2)」の輸送用として造られた。日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、アーク2事業は現在、中国向け輸出が限定的にあるものの制裁の影響で事実上停止状態が続く。ウクライナ和平が締結され制裁が解除されれば、本格的に稼働が始まるとみられる。
ソフコムフロートのイーゴリ・トンコビドフ最高経営責任者(CEO)は24日の式典で「ロシアの海運、造船業界全体にとって歴史的な日だ。北極海航路全体の通年航行を確保する上で重要な役割を果たす」と述べた。
ソフコムフロートによると、アレクセイ・コスイギンは極東沿海地方のズベズダ造船所で建造。全長300メートル、幅約50メートルで、北極圏の氷の厚さに左右されず、安全な運航を保証する技術を搭載し、冬季でも輸送を可能とした。船名はソ連時代の著名な政治家にちなんで名付けられた。
アーク2事業は2023年11月に米政府の制裁対象に加えられ、権益を保有しているJOGMECと三井物産など外国企業は、事業参画の停止を表明している。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。