自身に対する刑事捜査を受けて動画声明を出したパウエルFRB議長=ロイター

12日の米株式相場は反落して始まり、前週末比下げ幅は一時400ドルを超えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が刑事捜査の対象になっていることが11日に明らかとなった。中央銀行の独立性が脅かされ、市場参加者がリスク回避に動いている。金融政策への信認も揺らぎ、ドルや米国債にも下落圧力がかかった。

ダウ平均は取引開始後に一時、前週末比450ドル程度安い4万9050ドル近辺まで下落した。その後はやや買いが入り、米東部時間午前10時30分現在、同200ドル安前後で推移している。

パウエル氏によると司法省が9日にパウエル氏への刑事訴追の可能性を示唆する大陪審への召喚状を送付した。FRB本部の改修工事を巡りパウエル氏が連邦議会で偽証した可能性があるという内容という。パウエル氏は動画を通じた声明で「これらは口実に過ぎない」と反発し「この前例のない措置は政権による脅威と継続的な圧力という、より広い文脈の中で捉えるべきだ」と訴えた。

投資家の間では、司法省の対応について「米政権がFRBの独立性を損なう可能性のある措置と受け止めており、米国への信頼を低下させている」(カナダの資産運用会社SIAウェルスマネジメントのポートフォリオマネジャー、コリン・シジンスキ氏)との見方が強まった。

また、CNBCの報道によると、イエレン前FRB議長もパウエル氏に対する司法省の捜査を非難し、「中央銀行の独立性を損なう」と語った。この状況について「きわめて憂慮すべき事態だ」とした上で、「市場はもっと懸念すべきだ」と指摘した。

トランプ米大統領が前週末、クレジットカード発行会社が利用者に請求する金利に上限を設けることを発表したことも相場の重荷となっている。アメリカン・エキスプレスは一時5%以上下げる場面があった。

主要通貨に対するドルの総合的な強さを示すドル指数は12日に一時、前週末比0.5%下落した。長期金利の指標となる米10年物国債の利回りは一時4.18%台と前週末から0.02%ほど上昇(債券価格は下落)している。(ニューヨーク=竹内弘文、伴百江)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。