講演するカナダのカーニー首相(20日、スイス・ダボス)=ロイター

【ニューヨーク=秋田咲】カナダのカーニー首相は20日、トランプ米大統領がグリーンランドを取得するまで欧州諸国に追加関税を課すと表明したことに対し「関税措置に強く反対する」と述べた。「北欧・バルト8か国を含む北大西洋条約機構(NATO)の同盟国と協力する」と強調した。

カーニー氏が20日、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)の講演に登壇した。米国を念頭に、ルールに基づく国際秩序は「衰退している」と指摘した。

トランプ氏は17日、自身のSNSで米国がデンマーク領グリーンランドを取得するまで、欧州8カ国からの輸入品に10%の追加関税をかけると表明した。カナダは関税措置の対象とはならないものの、カーニー氏はこうした手法を批判し「北極圏の主権については断固としてグリーンランドとデンマークの立場に立つ」と話した。

またカーニー氏は2020年代末までに防衛支出を倍増させる方針を明らかにした。多国間主義を推進し、過去半年の間に4大陸で12の貿易・安全保障協定を締結したと説明した。「NATOの同盟国をさらに強化するため、(遠方を探知できる)超地平線レーダー、潜水艦、航空機、地上部隊に前例のない投資を行っている」とも明かした。

カーニー氏は20日、フランスのマクロン大統領と会談した。両首脳はグリーンランドを含むデンマークの主権と領土保全を支持する意向を確認した。

ダボスでのカーニー氏の講演は「世界秩序の崩壊」がテーマだった。米国を念頭に「大国は市場規模や軍事力で条件を決定する力をもっている」と主張した。「覇権国と2国間のみで交渉すれば(カナダのような)中堅国は弱い立場での交渉となり従属を受け入れなければならなくなる」と語った。

大国間の競争においては「狭間にある国々には覇権国に対して影響力をもつ第3の道を共に創り出す選択肢がある」と唱え、超大国ではない中堅国の連帯を呼びかけた。

カーニー氏は16日に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談するなど、関税問題をきっかけに米国への過度な依存の見直しに動いている。

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