ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した呉軍華氏

中国国家統計局が19日に発表した2025年の国内総生産(GDP)は、実質で前の年に比べて5.0%増えました。成長率は政府が掲げた目標とぴったり同じ数字になったため、どこまで信じていいのかと疑念の声もくすぶっています。深刻な不動産不況が続く中国経済の実態は、どうみればいいのでしょうか。

経済産業研究所の呉軍華コンサルティングフェローはラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演し、25年のGDP成長率について「実際は(5%より)はるかに低い」と指摘しました。正確なデータが手に入らないため、実際に何%だったのかを判断するのは難しいものの「よくて5%の半分くらいではないか」とみています。

25年の中国経済を支えたのは外需です。輸出額は米国と激しい貿易戦争を演じたにもかかわらず、前年より5.5%増え、貿易黒字は通年で初めて1兆ドルを超えました。米国を除く国や地域、特に東南アジアや欧州への輸出が伸びたためです。呉氏はこうした輸出の好調があったから「マイナス成長は回避できた」との見方を示しました。

26年の中国経済はどうなるのでしょうか。不動産不況を背景に関連する投資が落ち込んでおり、消費もなかなか上向きません。内需が足りないにもかかわらず、習近平(シー・ジンピン)政権は今年から始まる第15次5カ年計画で供給力の強化に軸足を置こうとしています。需要不足のところに供給を増やせば、物価が下がり、デフレがいっそう深刻になるのは当然です。

電気自動車(EV)や太陽光パネルなどを造りすぎているのは明らかで、行き過ぎた値下げ競争を意味する「内巻」が収まる気配もありません。このような状況下、国内でさばききれない製品を海外に安値で売る「デフレの輸出」が起こっています。

内需の回復は見込みにくいので、習政権は今年も輸出主導の成長をめざすのでしょうか。おそらく、そうしたいと考えているのでしょうが、呉氏は「できるかどうかは別の話だ」と強調しました。「デフレの輸出」は世界経済を混乱させかねず、国際的な批判が高まっているからです。

呉氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。

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(編集委員 高橋哲史)

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