
高市早苗首相は31日夜、英国のスターマー首相と首相官邸で会談する。日本がめざす「自由で開かれたインド太平洋」の実現へ協力を求める。西半球優先の「ドンロー主義」を掲げるトランプ米大統領が国際秩序を揺るがしており、価値を共有する日本と欧州の協力は重要さを増す。
スターマー氏は29日、英首相として8年ぶりに中国を訪れ、習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した。その足で日本にも立ち寄り、首脳会談と共同記者発表に臨む。日本政府高官は「中国の状況を知る絶好の機会だ」とも話す。
日英の首脳会談では日本、英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発の進捗を確かめる見通しだ。日本が初めて米国以外と生産する大型の防衛装備で、35年以降の航空自衛隊の主力装備となる。
サイバー、宇宙分野、人工知能(AI)や量子といった軍民両用技術での協力も確かめるとみられる。日英の産業力を生かし、官民連携を拡大していく。
日英の関係は経済と安全保障の両面で深まり、日本は「準同盟」と定義付ける。英国が2016年に欧州連合(EU)の離脱を決め、インド太平洋への関与を志向したことが関係の深化を後押しした。両国は20年に2国間の経済連携協定(EPA)を結んだ。
高市政権は26年、欧州との関係の強化を外交目標の一つに掲げる。西側諸国が重視してきた「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」をトランプ米政権がないがしろにしているためだ。自由や民主主義といった価値を共有できる地域として重視する。
日本が中国や北朝鮮、ロシアなど東アジアの軍事的脅威に対処するには同盟国である米国の協力が欠かせない。ドンロー主義のもと、米国の地域への関与には不安が残る。日本は英国を含む欧州に一層の安保上の連携を期待する。
英国からみても日本は価値を共有し、幅広い政策で連携できるパートナーだ。安保と経済の両面で依存する米国が欧州を軽視するなか、日本との協力の重要性は高まる。
首相として8年ぶりの訪中に英国内の保守派などから批判がある。トランプ氏は中国との経済関係の強化を「英国にとって非常に危険だ」と述べた。スターマー氏の訪日には日本を重視する姿勢を示すことでバランスをとる意味もある。
(三木理恵子、ロンドン=江渕智弘)
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