AIの業務代替懸念が金融関連株に波及している

米人工知能(AI)開発新興アンソロピックの新技術公開をきっかけとする、ソフトウエアがAIに代替される「Saasの死」を警戒した関連株の下落基調が続く。ソフト関連だけでなく金融や法律の専門情報企業、ソフトウエア企業に資金提供をする銀行や投資ファンドまで売られるなど、影響が広がっている。

アンソロピックが提供するサービス「Cowork(コワーク)」に1月30日に新機能を追加し、法務や財務分析などの専門的な業務の自動化にも対応すると明らかにした。3日のアナリストリポートで、既存の業務ソフトや情報サービスの一部を代替するとの見方が伝わり、同日にソフト株が急落した。

4日のニューヨーク株式市場でも、データベース大手のオラクル株は前日比5%安と続落し、2日終値と比べ8%下がった。2日発表の好業績を受け3日に逆行高となっていたデータ分析のパランティアも、4日には12%下落し、2日終値と比べ6%安い。

顧客情報管理のセールスフォース、中小向け会計のインテュイット、デザインソフトのアドビなど、大手ソフト株は4日に反発したものの、アンソロピックの代替懸念が伝わる前の2日終値と比べると5〜9%安い。

ソフトウエア銘柄を中心に組み入れる上場投資信託(ETF)「iシェアーズ拡大テック・ソフトウエアセクター(IGV)」の価格は4日に83.84ドルと、2日終値と比べて6%安まで下がった。取引量は4日に4000万株超と、過去最高を記録した。

業種ではソフトウエアに含まれない企業にも代替の脅威は迫る。法律に関するプラットフォームを提供する米リーガルズーム・ドットコムは2日で16%安、米調査会社ガートナーは同22%安、トムソン・ロイターは14%安、S&Pグローバルは12%安となった。

ソフトウエア企業へ資金を提供する企業への警戒も広がる。プライベートクレジット(ファンド融資)を通してソフトウエア関連企業を主要な投資対象の一つとするブルー・アウル・キャピタルやKKRの株価は2日でそれぞれ10%、8%下がった。

米銀行大手のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーの株価も続落し、2日間でそろって3%下げた。バンク・オブ・アメリカのリサーチアナリスト、エブラヒム・プーナワラ氏らは、「(ソフトウエアだけでなく)広範なテクノロジーセクターへのエクスポージャーは大手銀行の総融資額の2.7%を占めている」と分析。ゴールドマンやモルスタの融資比率は3%台後半と、平均を上回ったと推定する。

英キャピタル・エコノミクスのシニア・マーケッツ・エコノミスト、ジェームズ・レイリー氏は「ソフトウエア企業への懸念がプライベート・クレジット市場を悪化させれば、より深刻な懸念が生じる可能性がある」と指摘する。レイリー氏はKKRの株価急落はこうした懸念を反映している可能性があるとし、5日発表の決算に注目している。(ニューヨーク=五味梨緒奈、佐藤璃子、シリコンバレー=山田遼太郎)

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